「帰るまでいようか?」


「ありがとう・・・・でも・・」


そう言った高橋の表情は、
いつかに見たように
寂しそうで、それでいて無表情な
不思議な表情だった。



「お母さんは帰らないわ・・・」


「仕事?」


「いいえ・・・もぅずっと帰って来ないの」


「帰って来ないってお前・・・それって
 誘拐とか?失踪とか?」


「フフフ・・・
 男のところに行ってるのよ・・・
 いつもそうなの」


「でも、お前1人でずっと
 暮らしてるってこと?」


「ええ」



「ええってお前・・・
 生活費は?ご飯は?」


俺の頭は混乱していた。
だって高校生って言ってもそんな
親なしで暮らせるものなのか?