やりたいことのイマイチない俺達だけでは
決めきれないから、男子で結束するって
ことで一応、納得した。


佐々木とは駅で別れて家の最寄り駅まで
俺は1人で電車に乗っていた。



まだ、時間的には早かったこともあって
車内はすいていた。


だから、すぐに気付いたんだ。


あの窓際の猫目ちゃんに。


すいている車内で、彼女は端の座席に
座り、小さな本をカバンから取り出して
読んでいた。


彼女を車窓から差し込む春の日差しが
照らして黒い長い髪をつやつやさせていた。


俺はすっかり彼女に見とれていた。


とっても綺麗だったんだ。



次の駅まで加速し始めた電車。
そんなときに彼女はなにかに気付いた様子で
カバンの中を漁りはじめた。


どうやら携帯のバイブに気付いたらしい。


画面を確認して落ち着いた様子で
本を片付けた。


きっと次で降りるのだろう。