「・・・・!?」
「!?」
男と・・女・・・それに・・・。
賽銭箱の前まで小走りでやって来たのは一組の男女だった。
・・女の方は何かを抱えている。
あっしらと対面する形になると、男女はこちらに向かって土下座をし始めた。
「神様・・・どうかこの子をお救いください・・・。」
「私達はどうなっても構いません。
どうか・・かつて村を救った玉山明神のお力を・・・!」
「・・・・赤ちゃん?」
「・・・・・・・・・・。」
暗くて最初は分からなかったけど、
女が大事そうに懐に抱えていたのは・・・まだ生後数ヶ月に見える赤ちゃんだった。
「とん平・・・。」
「・・?」
「あの赤子・・・何か変だ・・・。」
玉さんがそう漏らした直後・・・・
あっしらの前に紫色のような緑色のような茶色のような・・・どす黒い靄が広がった。
いや・・正確に言うと女が抱えていた赤ちゃんからその靄が飛び出てきた。