「どうぞ~。」


係員に誘導され、隣のキララの列に並んでいた坂田氏に、無言で“行って参ります”と告げる。



幾度となく経験しても、この瞬間の胸の高鳴りは毎回絶頂に達する。


ついたてで仕切られ、見えなかった姿をこの視界に捉えると・・・・



「・・あ!ポッキー君だ!!
来てくれてありがとう~。」


「♡♡♡♡!!」


課長や主任には“中華トイレ”と啖呵を切れる僕だけど、いまだにヒトミを前にするとうまく喋れない。


「イェーイ!Mステ見てくれた!?」


「あ、あ、あ、み、見たよ。
ホントにおめでとうヒトミ。」



一生懸命口を動かしても、
何度ヒトミの前に立っても、

いまだに最初は「あ、」から始まってしまう。


危うく“小林製薬”とあだ名を付けられても文句が言えない所だったけど、

ヒトミは僕の事を“ポッキー”と呼んでくれる。