“ヒヒーン!!”


一斉に馬の遠吠えが響く。

あっという間にあっしらと明智軍の距離が詰まった。


向こうもこちらの存在に虚を突かれたのか、

そのままなだれ込むことはしずに、
少しばかりの距離を空けて対峙する。


「お主ら何者だ!!?そこをどけ!!」



「羽柴家家臣 玉山一島!!!

お手前方、このような軍勢を率いて何をしに参った?

この先は天下の織田信長が納める加賀井村と知ってのことか!?」



「フハハハハ!!そのうつけ者なら、
我が殿、明智光秀が討ち取った。

織田領は本日より明智領へと変わる。

そこをどけ!!」


「ならん!!!

生きるか死ぬかの戦国の世だ。
誰が誰を討ち取ろうがいい。

だがそれは民達には一切関わりなき事。

畑仕事もした事の無いようなてめぇらに・・・

その汚ねぇ足で、村の人達が命を賭けて作った田畑を荒らされてたまるか!!!」



数百の軍勢を前にしても、
玉さんは一切怯まなかった。


明智軍の連中がみるみるうちにいきり立つのが伝わる。