第3話 1582年6月26日



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・・・足着く地が・・確かに揺れていた。


「・・・・なんて数・・・。」


まだ遠い視線の先だったけど、おびただしいほどの一軍がこちらに向かっていた。


どどどっという音と共に、馬の蹄が地面を伝ってあっしらを威嚇する。


「・・とん平・・村には誰も入れるな・・・・。」


「・・・はい。」


玉さんと二人、加賀井村を背に仁王立ちして迎え撃つ。


何かの間違いであってくれと願っていた気持ちは見事に打ち砕かれた。


あっしらの視線の先、
馬に乗った男達の背にささる旗。


そこに記されている・・“明智”の家紋。


信長親分が本能寺で討たれたのは明白だった。

・・明智さんが・・・裏切ったのは・・!