『待たせたな。』


え・・・?

ヒトミでも僕でもない声が聞こえてきた。

・・ひょっとして・・・。


「お帰り玉さん。」


『少年も目覚めたか。
俺の言った通りだったろ?』


「・・・・うん・・恥ずかしかったけど・・。」


『あの茶屋のおっさんにはきつくお灸を据えておいたから、これで一件落着だ。』


「ありがとう玉さん。」




ヒトミが姿無きものと会話をしている。


「あ・・あの・・“玉さん”・・。」


僕も声を出してその人の名前を呼んだ。


『ん?』


「あの・・ありがとうございました・・。
助けて頂いて・・。」


『少年、もっと強くなれ。』


「!?」


『なんだかんだと善霊ぶってたが、
お前に憑いてた霊はここ越後で、

虎視眈々と人間の体を乗っ取る機会を狙っていたらしい。

そんな貧弱な体してるからお前が獲物にされたんだぞ?』


「・・・そうだったんですか・・。」


『体を鍛えれば、
それに比例して精神も強くなる。

せめてヒトミに“ポッキー”じゃなくて、
“トッポ”って呼ばれるように頑張れよ。』


「“フラン”でもいいからねポッキー君。」



「ハハ・・分かりました。」


『じゃあ俺はもう寝る。』