風邪をひいても、こもりんはこもりんのままだった。
しっかりと言質をとられてしまい、もう後には引けない。
心のなかで白旗を揚げる。降参だ。
「いったい何をご所望で……」
「えっとね、まずー、休んだ分のノートを今度写させてほしいー」
「うん」
「それと、机の中に置きっぱなしの、ファイルを家に届けてほしいー。ポストに放り込んでおいてくれればいいから」
なんだ。
それくらいなら、お安い御用だ。
身構える必要なかったじゃん、なんて油断していたら。
「あとー……」
「うん」
「今週末の三連休に、サッカー部の合宿があるんだよね、2泊3日でー。でも、私風邪こじらせちゃってるし、さすがに行っても迷惑だろうしさー」
「うん……?」
ちょうど、今週の金曜日は創立記念日で学校は休みなの。
それと土曜日、日曜日が続いて、合計3日間の連休が待ち受けている。
……と、そこまではいいのだけど。
サッカー部がその連休に合宿を予定していることは初耳だったし、しかもそれをこのタイミングで私に伝える意味、とは?