「ていうか! こもりんは私の心配してる場合じゃないよ!」

「あははー……」

「あはは、じゃないからね!?」

「これでも、ちょっとは熱下がったんだけどねえー」



ぜんぜん大丈夫そうじゃない、気の抜けた口調。


熱は下がったと言ったその直後、また苦しげに咳きこむ音が電話越しに届いて思わず眉を寄せる。

ほんとうに、ぜんぜん大丈夫ではない。




「……あの、なにか私にできることとか、ない?」

「えー、光莉にー?」




お見舞いには行かせてくれないし。


できることなんてあるのだろうか、と疑問には思いつつも、でもやっぱり、このままこもりんの回復をただ待っているのはちょっと、と思うのだ。




「なんでもするよ!言ってくれれば!」

「なんでもー……?」

「うん、なんでも!」




勢いよく宣言すると。





「……言ったね?」




ビデオ通話じゃない。

なのに、こもりんがにやりと口角を上げているのがありありと見えた。




……もしや、ハメられた?


いや、今こもりんは風邪っぴきなのだ。
さすがにそんなことは……。



いや、でも。




「待っ、何でもするっていうのは、その言葉のあやと言いますか────」

「うん?言ったよね、何でもするって」

「うっ」