朝、目が覚めてカーテンを開ける

顔を洗って、歯磨きして、リビングに行く

『おはよ。かの』
「あ、れい!おはよ〜」

朝ごはんを一緒に食べている幼なじみのれい。れいの親は海外出張で家にいなくて時々こうしてご飯を食べに来るのだ。

『かの。行くぞ』
「え、ちょ、待って!」

いつも一緒に登校する。そして

「ねぇ、れい。いつもおもうんだけどどうして手、繋いでるの?」
『ん?かのが迷子にならないように』
「迷子にならないよ…」
『うそ。俺が繋ぎたいから。かのはいや?』

かのは首を横に振り

「私も。れいと手、繋ぎたい」

素直に言ってしまうかのにれいはいつもデレている

こんな会話をふつーにしているから周りからの視線が半端ない。そこでかのは何かしたかと怖くなり静かになってしまう。それに気づいたれいは、

『大丈夫。かのは何もしてないよ。』と優しく頭を撫でてくれるのだ。かのはれいに撫でられるのが好きだから自然と笑顔になってしまう。そしてれいも笑顔になってしまう。

学校の近くまで行くと校門の前に多くの女子が集まっていた。

〈きゃぁぁぁぁぁ!れいくん!!〉

お目当てはれい。れいはルックスがよく、門の前に女子がいるのは毎日のことなのだ。れいにはかのがいると知っていてもそんなのお構いなしにアタックしてくる。

『チッ…』
「…れい?」

れいが女子を苦手なのを知っているかのは大丈夫かなと心配し始める。

「れい。大丈夫?」
『ん?なに?心配してくれてるの?』
「だって…」
『大丈夫。おれにはかのがいるから』
「うん?」

こちらによってくる女子を無視しながらもかのの手を引いて校舎に入ろうとするれいだが、ファンの力が強すぎてバランスを崩してかのが転んでしまった。それを見たれいは

『おい。てめぇらいい加減にしろよ』

低い声で静かに言ったれいにその場は静まり返る。

「れい。私は大丈夫だから…」
〈そ、そうよ。ただ転んだだけでそんな大げさな〉
『あ"?ただ転んだだけ?てめぇらのせいでかのが転んだんだろ?』
〈それは…〉
「れい、もういいよ。転んだのも私がバランスを崩しちゃったからだしさ。」
『でも、』
「ほら、チャイムなっちゃうよ?いこ!」

そういい、れいの手を引いて走り出すかの

『かの…ごめん』
「…?」
『俺のせいで転んじゃって…しかもかのの前で怒鳴っちゃって…』
「……。ありがとう」
『え?』

それはれいにとって想像もつかなかった言葉だった

「私のために怒ってくれたんでしょ?ありがとう」
『かの…』

れいはそんなかのが可愛すぎて思わず抱きしめる

「れい。苦しいよ」
『うるさい』
「うぅ…」