「……体調、不良……?」
本当にそうだったら良いのに。
「ああ、そうだ。部屋に戻るぞ。」
私の腕をつかみ、部屋へ連れていこうとするお父さんの手を振り払う。
「…新川先生、本当は?」
急に話を振られた新川先生は驚いた様子で言う。
「お父さんがおっしゃった通り、」
「……もういいです。隠さなくても。」
なにも言わずに立ち尽くす大人3人を見て、私は、認めるしかないと気付く。
「…先生。すみません、菜摘に説明してやってください。」
「あなたっ……」
覚悟を決めたようなお父さんの言葉に、お母さんはその場で泣き崩れた。
「菜摘さん、こちらへ…」
新川先生は小さく頷き、私をさっきまでお父さんたちがいた部屋に案内した。
お父さんは、お母さんを支えるようにして反対方向へと歩いていった。