手を繋いでベッドに入り、葵音が黒葉を抱き締めながら横になると、黒葉はすぐに眠たそうに目を細めた。
 もう数時間すれば日が昇る時間だ。彼女はねむたさが限界にきたようだった。


 葵音が撫でるように黒葉の艶やかな黒髪を手ですいているうちに、黒葉はすぐに、すやすやと寝てしまった。
 その寝顔は安心しきって微笑む、幸せそうなもので葵音もそれを見ただけで嬉しくなってしまう。


 恋人になる前から一緒に住んで、同じベットで寝て、キスも数回した。それなのに、恋人になったというだけで幸福感を感じられるのが不思議だった。

 恋人になったら、デートをして、寄り添いあい、そしてきっと未来を語るのだろう。2人が歩んでいく道を。
 それが明日なのか、もっと遠い先なのかはわからない。けれど、お互いの幸せのために一緒に幸せになりたいと願うはずだ。



 「だから………いつか、教えてくれよ。」



 熟睡している彼女の頬に小さく口づけをした後に、葵音は消えてしまいそうな声で呟いた。
 その言葉は葵音自身と窓から見える星しか知らずに消えていってしまった。











   ☆★☆




 ベットが軋んで、少し体が揺れた。
 黒葉はまだ眠い目を擦って、ゆっくりと目を開けた。
 レースのカーテンからは、太陽の光が入り込んでおり、優しくベットを照らしていた。
 あぁ、もう朝なんだな……そう思って、ベットの隣にいつもいる葵音の方に視線を向けた。

 すると、彼はとても優しい笑みを浮かべながらこちらを見つめていた。