「未来は変えられるんだ。だから、そんなに心配しないでいいよって事。………ということで、占いのお礼として、僕と葵音と君のお菓子を買ってきてくれないかな。あそこのチーズタルトが美味しいんだ。」
そう言うと、財布からお札を1枚取り出して、黒葉に渡した。累が指差した先には、平日にも関わらず長い列が出来ている店だった。
「おい、あれだと結構並ぶぞ。俺も一緒に………。」
「私、一人で大丈夫です!行ってきますので、葵音さんは累さんと待っていてくださいね。」
葵音の言葉を遮って、黒葉はお金を持って長い列に向かって小走りで行ってしまった。
「いい子だね。君より、僕の意図をよーくわかってる。」
「………わるかったな、鈍感で。」
「わかってるならいいよ。………さて、あの子だけど、はっきり言って未知すぎて不気味なぐらいだ。」
「おい………そこまで言わなくても。あんなに占ってたじゃないか。」
「………あの結果も、よくわからないよ。他に配ったカードを見ても、あの子の未来は危険すぎるんだ。」
「………危険?」
「そう。そして、彼女はそれを受け入れてる。というか、僕が言う前から知ってるみたいなんだ………。」
累は遠くに見える黒葉をじっと見つめる。
その表情は、見たことがないぐらいに厳しいものだった。
「葵音、ちょっと手相見せて。」
「……いつも見てるじゃないか。」
「だからだよ。いつも見てるから、変化がわかる。」
「………わかったよ。」