「緊張しなくても大丈夫だよ。僕は手相とタロットカードが主なんだけど、タロットしてもいいかな。」
 「………お願いいたします。」
 「席をはずそうか?」
 「いえ……葵音さんもいてください。」


 ぎこちなく微笑む黒葉を一人にしておけるはずもなく、葵音は彼女の隣に座ったまま占いを見守る事にした。

 累は赤の模様が入ったタロットカードを取り出し、鮮やかにカードを切っていく。黒葉弐、手伝ってもらいながら、カードをゆっくりと置いていく。


 「これが、黒葉ちゃんの過去と現在、そして未来だよ。1枚ずつ捲っていくね。」

 
 カードを捲っていくと、左は恐ろしい顔をした悪魔が描いてあるカード。中央は記号が描いてある輪のような物あるカード。そして、右端は大きな月が描かれているカードだった。

 累は、少し顔をしかめながらカードの、説明をしていく。


 「左のカードは悪魔。中央のカードは運命の輪。そして未来のカードは月だね………。黒葉ちゃんは……何か大きな転換期を迎えているようだね。」
 「………転換期ですか。」
 「過去のカードは、何かに縛られている事を意味するんだ。きっと大変な過去があったはずだよ。それを今は乗り越えているから、この、転換期なのか……それとも未来へ転換期からなのか、わからないけれどね。」
 「………この月のカードは、どうなんだ?」


 葵音がそう問うと、累は少し複雑な表情を見せた。