7話
黒葉の部屋は寝室の隣りの空き部屋を使用することにした。
マンションは自体は小さかったが、一人辺りが広く、特に葵音が住んでいる部屋は1番大きかった。
空き部屋には本当に何もなかったが、今は黒葉用の布団と買ってきた物や彼女の大きな鞄が置いてある。
「クーラーもあるし、窓も大きいから普通に使えると思う。ただ、鍵がないのがな……。」
「いえ!私は大丈夫です。普通のおうちに鍵なんてないですよ。」
「プライベートは守るよ。」
そんな会話をしながら、空き部屋の掃除をした。汚れているところはほとんどなかったが、他には何が必要か、洋服はあるのかなど話しているうちに、あっという間に夜も深いになってしまった。
黒葉を先に寝るように言い、葵音は作業場に籠った。
今日の仕事分は終わっている。
けれど、明日の準備などは終わっていないし、作業場の掃除もまだだった。
「明日は、打ち合わせが1つと、ネックレスを完成させないとな。デザインと進めておきたいし……明日は忙しいな。」
葵音は仕事のスイッチを入れ始めると、一気に覚醒してしまった。まだ眠くもなかった。
結局明け方近くに寝室に戻ることになってしまった。
「黒葉の朝食はまたお預けかな。」
そんな事を思いながら、寝室のドアを開ける。
すると、ベットの上に誰かが寝ている。
この家には、葵音の他にもう1人しかいない。
そこにいたのは、黒葉だった。