そして、ゆっくりと目を開ける。
 すると、飛び込んできたのは暗闇で光る星空だった。
 自分は今、星を見に来ていたのだっただろうか?

 朦朧とする意識の中、ただその光りを眺めていた。その内に、それが星ではないことに気づいた。
 どこかの部屋の天井とカーテンが見えた。このに光りで星が映し出されていたのだ。

 綺麗だなと見ていると、左手が温かいのに気づいた。けれど体は上手く動かない。
 黒葉は目線だけ動かすと、そこには愛しい人が自分の手を握ったまますやすやと寝ていた。
 椅子に座ったまま頭をベットにつけて寝ていた。


 葵音さんがいる。
 どうしてそんなところで寝ているのだろう?
 私はここで何をしているのだろうか。


 よくわならなかったけれど、彼に会うのがひどく懐かしいような気がした。
 彼の顔をもっと見たい。
 彼の優しい声で「黒葉。」と呼んで、頭を撫でて欲しい。

 そう思って手を伸ばそうとしても力が出ないので腕さえも動かせなかった。


 「あ……ぉ………ね………。」
 

 口を動かしても、あまり声が出ない。
 それでも気づいてほしくて、指だけに力を入れて彼の手を握りしめて、小さく息を吐いてから、もう一度彼を呼んだ。


 「あお、ねさ………ん。あおね………さぁ、ん。」


 それでも彼の眠りは深いのか、こちらを向いてくれない。
 そう思ったときだった。
 彼の瞼がピクリと動いた。