「黒葉ちゃんの免許証あるかい?見せて欲しいんだけど………。」
 「あぁ、ここの箱の中に入っている。」


 箱からそれを取り出して累に渡すと、累は住所を見たのか「あぁ………やっぱり北の方だと言っていたし、ここに星詠み人の家系がいたのか。」と、独り言をブツブツと呟いていた。



 そして、少し考え事が落ち着いた頃に、ようやく葵音の方を向いて問いかけてきた。

 「大丈夫かい?さっきまで泣いていたけど………少し落ち着いているようだね。」
 「自分の信じられない予想のお陰で、驚きは少しで済んだのかもしれないな。でも、こんなに昔から運命の人としてずっと考えていたとは思ってもいなかったよ。」
 「運命の人とか、葵音は信じるタイプじゃなかったのにな。」
 「おまえと黒葉の言う事は信じられるよ。」
 「……本当に葵音は変わったね。」


 葵音の言葉に驚いた顔をし、けれども嬉しそうに累は笑っていた。


 「日記を読んでも、彼女が目覚めるわけでもない。けれど、葵音は日記を読んで何か考え付いたんだろ?」
 「………黒葉は星詠みの力で俺を助けてくれた。そして、星詠みの力で大怪我をしてしまった。けど、彼女の星詠みの事を知らなすぎるんだ。だから、星詠みについて知りたい………だから、黒葉が住んでいたところに行きたいんだ。」
 「そう言うと思ったよ。」


 黒葉の住んでいた所へ行っても何もわからないかもしれない。それにわかったとしても、彼女を救えるわけでもないのだ。

 けれど、彼女が育った場所、星を見てまだ見ぬ葵音を想い星詠みの力を使っていた場所、黒葉が星を眺めていた場所。

 そこに行って、彼女が居た場所に触れてみたいのだ。