すると、事故にあう前の近い日から「今日も違った。」ではない言葉が沢山書かれていた。
それは、葵音が彼女に買ったワンピースをプレゼントした日から始まっていた。
『葵音さんが白いワンピースをプレゼントしてくれた。とても綺麗なワンピース。それはあの日、私が着ていたものと同じだった。真っ赤な血に染まってしまう、可哀想なワンピース。もうあの日が近い。』
『あのワンピースを来て出掛ける日は、きっと旅行の日だろう。その日にあの事件が起こるのだろうか。……わからない。けれど、せめて葵音さんとの旅行が終わってからがいい。2人の大切な思い出がもっと欲しいな。』
『夜になると不安になる。きっと旅行の日だろうと星が教えてくれているようだ。こんな幸せな時間が終わってしまう。もっと彼と触れていたい。』
『葵音さんと抱き締めあうと、自分がその瞬間消えてしまうのではないかと切なくなる。そして、これは夢だったんだと気づくのだ。夢でもいい………だから、あと少しだけ………葵音さんの傍にいさせてください。』
『彼を守ろうと決めてきたのに、いざその日が近くなると怖くなってしまう。自分が傷付くのももちろん怖い。けれど、何よりも私が失敗して葵音さんが事故に合ってしまうのが何よりも怖い。あの人を失いたくない。………私が守らなければいけない。あの人は、この世には必要な人。みんな、彼からジュエリーを貰って幸せになってるんだから。………私が大切な人の未来を守るんだ。』
『今日が最後の日になるのだろう。葵音さん、私と出会ってくれてありがとう。葵音さんと過ごせた日々が、何よりも幸せだった。葵音さんが大好きです。』
事故の前日で、黒葉の日記は終わっていた。