初めて見る電話番号だった。
自慢じゃないけれど、わたしは昔から友達と呼べるような人がほとんどいない。
高校生までの間に関係が続いている人なんて3人いるかいないかだ。
原因は何となく予想がついている。
多分、この愛想の悪さだと思う。
話しかけられると緊張してしまい、半紙よりも中身の薄い返事ばかりしているから、自然と人が離れていってしまうのだ。
「あの子と話しても会話続かないよね」って。
よく知らない子が「気にすることないよ」とか言いつつ、裏でそれを言っていた張本人ということにわたしは気づいていた。
人って汚い、とその時本気で思った。
「次はー、桜町、桜町。
お出口は右側です」
電車を降りると、電話を掛けてみようという気になった。
ちょっと面白いことが起きたらいいな、という気持ちもある。
毎日こんなにつまらないんだから、少しくらい楽しいことがあってもいいよね。