「ごめん、何も分かっていなかった」
「いいよ、人と距離置いてきたわたしが悪いからこんなことになったんだよ」
その時、1限の始まるチャイムが鳴った。
「……どうしよう」
「せっかくだからちょっとくらい休みなよ。
昨日も帰ってから頑張っていたんじゃないの?」
「……休もう、かな」
戸部くんの隣に腰を下ろすとまた緊張してきた。
何も悪いことはしていないけれど、わたしが隣にいることそのものが悪いことのように思えた。
そっと距離を置く。
「なんで離れるんだよ」
「だって……」
「いいから来いよ」
「え、でも……」
「じゃあこうする」
「え?」
立ち上がり、歩き出す。
そしてわたしのすぐ隣に座る。
「……俺の方が釣り合わねえよ、野木さんと」
「そうだよ、わたしなんかと」
「違うから。野木さんは本当はキラキラしている」