肩に乗せられた手にまた動揺してしまったけれど、避けたいとは思わなかった。



予想外の人肌の温かさに戸惑っていた。



今日のこのたった今、わたしは確実に何かを変えられた。



そして、戸部くんに対する気持ちが冷ややかなものでないことに苦しくなった。



ああわたし、ずっと人に触れたくて、触れられたかったんだ。



大事にされないかもしれないということが怖かったんだ。



「ひとりじゃない」



ふわっと包まれた。



温かい。



まだ、わたしから触れることは難しい。



ただ逃げないということでしか意思表示が出来ない。



「……ごめん、嫌だったよな」



「……ない」



「え?」



「嫌じゃ、ない」



きっと真っ赤だと思う。



夜が誤魔化してくれるけれど。



「人ってこんなに温かいんだね……」



どちらからともなく歩き出す。



そろそろ帰らないと。