「ねえ野木さん。明日でテスト一週間前じゃん?

勉強してる?」



「してる」



なんでこんなに当たり前のことを聞くんだろう。



「数学得意?」



「それなりに」



「じゃあさ、教えてくれない?

今日の放課後」



「は?」



「だから、勉強。

俺らじゃみんなアホで三人よれば何とかなんて話にならないんだよ。

教えてくれない?」



「先生に聞けばいいじゃん」



「俺らはね、野木さんに聞きたいんだよ。

頭いいから」



「良くない。

大体頭が良い悪いの基準って何?」



「ま、とりあえず今日は教えて。

自分のためにもなると思うから」



そう言われると断れない。



痛いとこを突くのもこういうキラキラした人は上手いんだった。



"人間慣れ"しているみたいだ。



ホームルームが終わって鞄を持ったけれど、机の上に戻した。