「あはは、馬鹿じゃん!

前も同じ方法に引っかかった!」



「鈍いにも程があるでしょ、星川さん!」



「……馬鹿だなあ、星川さん」



「……ちょっと、間抜けだよ、ね」



「……だよねー」



遠慮がちに普段なら言わないような子達も言い出した。



水に頭を突っ込ませるのは駄目で、雑巾をぶつけるのはいいとでも思っているのだろうか。



やっている事は、同じ、いじめでしかないのに。



……友達が1人でもいれば。



きっとこんな思いはしていなかったと思う。



今度こそ、流しで水をしっかり絞って床を拭く。



涙は零れない。



こんな時にか弱い風を装ってでも泣くことが出来たらどんなにいいか。



「ほらー、あなた達早く席に着きなさい」



「ごめんごめんナミちゃーん」



「ごめんじゃないでしょう。

星川さんが床を吹いているんだからあなた達も手伝ってあげなさい」