気持ちが落ち着いたら、成績も今まで以上に伸びてきた。
受験の直前に本命のワンランク上の大学も志望して、合格できた。
やっぱり言うことは一つしかなかった。
「ありがとう」
そう言うと、一言「頑張りなさい」と言われた。
大学に入ってからは友達ができた。
人並みに恋もした。
人生の中でいちばん充実した学生生活を送ることができた。
この前は久しぶりに大学時代の友達と旅行に行った。
部屋の中を掃除していると、電話に着信が入った。
「もしもし?」
「……あっ、ごめんなさい!
間違い電話です!」
……来た。
不安げなわたし。
今度はこちらから。
「……もしもし?」
「……あ、もしもし……」
大丈夫だよ、と心の中で声をかける。
あなたならやっていける、どんなことがあっても。
「驚いたでしょう?いきなり電話を掛けたから。
ごめんね」
「……大丈夫です」
「名前はなんて言うの?
わたしはホノカって言うんだけど」