「はい、空気の入れ替えするよー」
「そうだねー、誰かさんのせいで教室の空気が汚れちゃったもんね」
「サキきつーい」
「悪気あって言っているんじゃないんだから。
本当のこと言ってあげているんだし。
ね、星川さん」
……こいつ、本当に嫌い。
でも、睨みつけたり歯向かうのが良いことではないとわたしは知っている。
それで散々痛めつけられたから。
黙って掃除用具入れに雑巾を取りに行く。
「無視とかサイテー」
……むかつく。
こっちが黙っているからっていい気になるなよ。
言ってやりたいけれど、相手はクラス全員。
勝てるはずが無い。
「雑巾ならあたし持ってる!」
突然エリが叫んでわたしを振り向かせる。
それが馬鹿だった。
べちゃりと間抜けな音が鼻先でして、雑巾が無惨な姿で床に落ちる。
あーあ。
自分の事なのに、人事のようにしか感じられなかった。