「今日はどんなことをしていたの?
あ、夏穂さんは高校生?」
「そうです、高二です。
次は高三になります」
「そっかあ、大変だよね。高校生。
勉強も部活も、友達も」
「大変だよね」という一言が、こんなに同情心もなく、暖かく響くことを初めて知った。
話してしまおうか。
……いや、迷惑に思われる。
知り合ってすぐの人にこんなことを聞くなんて。
「……まあ。でも何とかやっています」
「ストレスとか溜まっていたら話していいからね。
学校じゃあなかなか言いづらいでしょう?」
「そうですね、言いづらいです。
すぐに外されると思うので」
「あはは、夏穂さん面白いのね」
「そんなことないですよ」
少し声が大きかったかな、と車内を見渡すとお年寄りばかりが気持ちよさそうにうとうとしていた。
「……よかった、声が明るくなって」