昼休みも同じだった。
弁当を目の前で捨てられ、水をかぶる。
こいつらは毎日同じことしか出来ないのか。
放課後になると、基本的には何もしてこない。
多分、次の日のための準備があるんだと思う。
そんなことをしているなら、宿題でもやればいいのに。
そんなことをしているからエリは内申点を上げるために波村先生に媚を売らないといけないのだ。
校門を抜けると、昨日の電話が気になった。
……忙しく、ないかな。
発信ボタンを押すと、今日はすぐに繋がった。
駅へ歩きながら話してみる。
「……もしもし、昨日のわたしです」
「ああ、あなたね。
いいわ、今日は暇なのよ。
そういえば名前を聞いてなかったわね。
何ていうの?」
大人だ、と思った。
わたしの知る、汚い大人とは無縁な感じのする、静謐な空気を纏ったような大人だ。
「……星川、夏穂です」