ショコラミントを飲んで、
しばらく店内を眺めていた。
お客さんはいっぱいいて、それなりに賑やかだった。
男の人で何人か一人で来ているお客さんもいて、
私はその一人のお客さんをまじまじと見ていた。
もしかしたらこの中のどれかが
榎本尚央なんじゃないのかな?
見つけようがないけれど、探してしまった。
私にある情報は服がダサいってことだけだけれど、
もしかしたら今日はまともな服装かもしれない。
そう思ったらなんだか怖くなった。
もしかしたら私、このまま尚央っていう人を
見つけられずに今日を終えるんじゃないのかな。
そうしたら私は、
一体何をしにここまでやってきたんだろう。
その後、いくら待っても
榎本尚央らしき人は来なかった。
ショコラミントもいつの間にか飲み干してしまい、
お客さんもぞろぞろと入れ替わっていった。
そっとレジの方を見ると、
あの店員さんと目が合ってしまった。
まだ帰らないのかよとでも言いたげに、
店員さんは小さくため息をついた。
体がびくりと反応し、弾かれたように席を立った。
伝票を持ってレジへと向かうと、
店員さんが伝票を預かり、手早くレジを打っていく。
金額が表示されて、財布からお金を出した。
千円札を出すとまたため息をつかれた。
ああそう。悪かったね。
生憎今日は千円札しか持ってきていないんだよ。
そんなことを直接店員さんに言えるほど
肝が据わっているわけでもない私は
心の中で思いながら頭を下げた。
お釣りを渡されて、私は足早に店を出た。
最後にありがとうございましたも言わない店員さんだったけれど、
あれなら言われたっていい気はしない。
なんだったんだろう。
今までの日記の中の私はこの店を大絶賛していたけど、
今日の私はこの店をいい店だとは思えなかった。
店員一つでこんなにも変わるものなんだろうか。