うーんと唸っていると、
ふとあるものが目に留まった。
青いノートが小さなテーブルの上に置いてある。
白の中に青いものがあるものだから
気になって仕方がない。
テーブルの前に座り込んでノートを眺めると、
表紙には「MEMORe:」と書かれている。
「Re:」って、~に関して、とか
そういう意味だった気がする。
今はもうメールなんて廃れたけれど、
確か返信メールの際に使われる記号だよね?
「メモ」?それとも、「メモリー」?
私はそのノートをそっと開いた。
―十二月一日土曜日 AM11:30 今日の私へ。
日記?
それにしては書き出しがどうにもおかしい。
今日の私へ?
昨日の私も明日の私も一緒でしょう。
おかしな私。
これを書いた時はきっと
浮かれ気分だったか頭でも打ったんじゃないだろうか。
カレンダーを見ると今日は十二月四日だった。
三日前の私、意味が分からない。
日記らしきものの書き出しは奇妙なものだったけど、
私は続きを読むことにした。
だってノートいっぱいに
ぎっしり書かれているんだもの。
内容が気になる。
―これは私の、記憶媒体。
今日から毎日、何が起きたかを
ここに書き綴っていこうと思う。
今日の私へ。
聞きたいことは沢山あるだろうけど、
まずはこれを読んでほしい。
驚かないで読むんだよ?
読み終えた頃には全てを理解出来るはずだから。
まず一つ目。私は事故に遭った。