―七月二十六日 木曜日
 今日も昨日の女の子は店に来た。
 やっぱりショコラミントを頼む。
 女の子に話しかけると、
 昨日のことを覚えていないのか、
 訝しげに見上げてきた。
 それでもめげずに話しかけていると
 やっぱり笑ってくれた。
 それが嬉しくて、沢山話した。
 彼女は波留というらしい。
 今日の俺も、波留のことが好きだった。











好きだという記述が書かれていて、
本当のことだと知る。


七月二十五日。


それが私と尚央が初めて会った日。


尚央は五か月前から私のことを好きでいてくれたんだ。















―十一月二十五日 火曜日
 久しぶりに波留が店にやってきた。
 随分とやつれた顔をしている。
 それでもやっぱりショコラミントを頼んでいた。
 話しかけてみると、「は?」って言われた。
 心が折れそうだった。
 それでも彼女が好きだった。





日記の最後には必ず、「好きだった」と書かれていた。


それに毎日のように私を好きになってくれたという
尚央の気持ちが表れている。


それを読んで、私の目からは涙が溢れていた。


こんなに大きな愛を、
私は今までもらったことがあっただろうか。


前向性健忘という悲しく辛い病気を抱えていても、
こうして私のことを思い出してくれる。


その彼の熱意が感じられて、とても嬉しく思えた。