私は窓際の一番奥の席に座った。


すぐに雅文がお水を持ってくる。


「いつもの」とかっこつけて私が言うと、
雅文は「はぁ?」と声を上げた。


「お前のいつものなんか知るか」


「なにそれ。じゃあなんでもいいですー」


何こいつ。
きっと真理愛さんだったらすぐに
私の「いつもの」を持ってきてくれるんだろうな。
にこやかにね。


雅文は舌打ちをすると奥に消えていき、
すぐに飲み物を運んできた。


乱暴にテーブルの上に置いて伝票を放り投げる。


なんだ、分かってるじゃん。
置かれていたのはショコラミントだった。


「天邪鬼だなぁ、雅文は。
 素直にかしこまりましたって言って持ってくればいいのに」


「うるせぇな。黙って飲めよ」


そう言う雅文は何故かじっと私を見つめている。


何?気持ち悪いな。


「どうしたの?」


「いや、よくそんなまずいもん飲めんなと思って」


「まずくないよ!美味しいよ!」


「歯磨き粉みたいな味じゃん。まずいだろ」


そうかなぁ。


私はそれが爽やかで美味しいと思うんだけどなぁ。


雅文はショコラミントを口にする私を
眉を歪めて見つめていた。