(でも、このままなにもせずにいては、結婚話を進められてしまうわ。どうしましょう……)
今日も、答えの出せない問題を頭の中で繰り返すだけのセシリアに、斜め後ろに立つツルリーが、能天気で明るい声をかける。
「ネックレスは、どちらになさいますかー?」
鏡越しに彼女を見れば、右手にルビーとダイヤの二連ネックレス、左手にエメラルドとダイヤの三連のものを持っている。
問いかけておきながらセシリアの返事を待たないツルリーは、「ドレスの色と合わせれば、こっちですね!」とルビーの方を高く持ち上げた。
「セシリア様、こっちでいいですか?」
「ええ……」
「あれ、お気に召しませんか? それでしたら、私がつけているものをお貸ししてもいいですよ。宝石店で衝動買いしちゃったんです。ハート形の宝石がいっぱいで超可愛い! 白状しちゃうと、全部ガラス玉なんですけどー」
本当はガラス玉ではなく、ピンクダイヤで作られた本物が欲しかったと笑って説明したツルリーは、「これ付けてみます?」とセシリアに勧めた。
冗談めかした口振りなので、王女がイミテーションのアクセサリーを身につけるはずがないとわかって言っているようだ。
今日も、答えの出せない問題を頭の中で繰り返すだけのセシリアに、斜め後ろに立つツルリーが、能天気で明るい声をかける。
「ネックレスは、どちらになさいますかー?」
鏡越しに彼女を見れば、右手にルビーとダイヤの二連ネックレス、左手にエメラルドとダイヤの三連のものを持っている。
問いかけておきながらセシリアの返事を待たないツルリーは、「ドレスの色と合わせれば、こっちですね!」とルビーの方を高く持ち上げた。
「セシリア様、こっちでいいですか?」
「ええ……」
「あれ、お気に召しませんか? それでしたら、私がつけているものをお貸ししてもいいですよ。宝石店で衝動買いしちゃったんです。ハート形の宝石がいっぱいで超可愛い! 白状しちゃうと、全部ガラス玉なんですけどー」
本当はガラス玉ではなく、ピンクダイヤで作られた本物が欲しかったと笑って説明したツルリーは、「これ付けてみます?」とセシリアに勧めた。
冗談めかした口振りなので、王女がイミテーションのアクセサリーを身につけるはずがないとわかって言っているようだ。