なぜか嬉しそうな顔をしたクロードが、柵に手をかけ、「課題のひとつ目を達成されましたね。さすがです」と褒めたため、セシリアは目を丸くした。


(どうしてクロードさんが、課題のことをご存知なの……?)


「実はーー」

彼の話によれば、セシリアが父親に人助けの課題を与えられた後、彼も執務室へ呼び出されたそうだ。

セシリアが課題に取り組むにあたり、危険がないよう、見守ってほしいとの国王命令を受けたのだとか。

そして昨晩は、セシリアと侍女たちが外へ出たところから全てを見ていたという話であった。


それだけで充分に驚いて、見られていたことに動揺するセシリアであったが、自重気味に笑うクロードに、さらなる困惑へと落とされてしまう。


「初めはセシリア様が庭を荒らしているのだと勘違いし、驚きました。失礼ながら、なんと酷いことをなさるのかとも思い、お止めすべきか迷ったのですが……こういうことだったのですね」

「あの、こういうこと……とは?」

「庭師ジャルダン殿の窮地を救うための行動であった、ということです」