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図らずも靴屋の問題を解決してしまってから八日が過ぎ、今日はサロンパーティー当日である。

十六時からのパーティーに向け、自室で支度を整えたセシリアは、ベッド横の壁に据え付けられた姿見の前に立っている。


「セシリア様、どうですか? 私はとってもお綺麗だと思いますー!」と、ヘアブラシを片手に隣ではしゃいだ声をかけるのは、ツルリーだ。


水色のドレスは胸元がやや広めに開いており、白く滑らかなセシリアの肌が見えている。

襟元には二連のダイヤのネックレスを下げ、下ろし髪はシルクのリボンで飾った。

履いているのは、コルドニエのタロンが制作した、あの青いパンプスである。


ツルリーの問いかけに、「これでいいと思うわ。お手伝いありがとう」と返事をしたセシリアであるが、その表情はなんとなく浮かないものであった。

その理由は、靴屋の一件の後も、二度にわたって悪事を企てたのだが、失敗に終わったからだ。


セシリアは四日前、悪事のターゲットをメイドにして、掃除の邪魔をしようとした。