「トワ~!」


パタパタとスリッパの音を響かせながら
病室に入ってきたのは
幼馴染のアカリ。


「そんなに急いでどうかしたの?」


読んでた小説をサイドテーブルに置き
興奮気味のアカリの話に耳を傾けた。


「あのね、トワ!
 私達ね、結婚する事になったんだッ」


そう言って彼女は
薬指に光る婚約指輪を
嬉しそうに見せてくれたんだ。


「そっかぁ~おめでとうッ
 アイツ、やっとプロポーズしたんだね」

「本当だよ~
 いつまで待たせるんだって話だよね~」


こんなに幸せそうなアカリの姿が見られて
私も嬉しくて仕方ないよ。


「だから結婚式までには 
 退院してよね、トワ」

「え…うん
 そうだよね…」


満面の笑みを浮かべるアカリに
ちょっと心が痛んだ。