「いや、その……お店で話してる内に……」

「意気投合して、とか?」

「ううん。『うわぁ、この人、嫌な人だなぁ』って思った」

「何、それ」

「本当に。実際に話すと分かるよ」



どうしても苦笑いになる。

汐里は背もたれにもたれ掛かると、何かを考え始めた。



「でも、確かにさっきのみさおの反応を見てると、あまり嬉しそうではなかったんだよなぁ。言われてみれば」



大変、勘がお鋭いことで。

本当のところは、関係を隠すことで必死だったからだ。

汐里は私の話に、何となく納得してくれたようで、チキン南蛮を頬張り始める。

危ない、危ない。

押しに弱い私は、これ以上突っ込まれたら、危なかった。

せっかく決めた自分の中の意思なんか、いとも簡単に砕け散り、全てを話してしまうところだった。

内心、かなり安堵して、おろしハンバーグにようやく箸をつけた。



「そういえばさ……」

「はいっ!」



やっと話が終わって、ほっとしていたのも束の間、汐里が再び口を開く。