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無事に仕事は終わり、社内に最近出来た吾妻さんのカウンセリングルームへ、駆け足で向かっていた。

息を切らして、ようやく辿り着いた目的の部屋の扉をノックした後、ドアノブを回す。



「ごめんなさい……! 遅くなりました……!」



そう、今日分の業務は無事終えたのだが、残念ながら、20分程遅れてしまっていたのだ。

それも、連絡すらも入れずに。

仕事に没頭してしまっており、気付いたら、約束の時間を10分も回っていた。

それから慌てて、吾妻さんの元へやってきた。

失礼なことをしたと、反省している。

しかし、それにも構わず、吾妻さんは笑顔で私を迎えた。



「お仕事、お疲れ様です。お気になさらず」

「すみません……」

「大丈夫。じゃあ、時間も勿体無いし、早速カウンセリング始めようか」

「はい……」



吾妻さんが椅子をひき、私をそこへ促す。



「ちなみに、前回お話した通り、遅延があったとしても、カウンセリングの延長は出来ませんので、その点ご承知おきを」

「はい。それは、分かっています」