「そんなこと気にしないで。営業さんは忙しいもんね」

「そんなこと、って……」



ユウくんが、今度はやや不満そうに呟いた。

一つひとつの表情筋の動きは、小さい。

彼は表情が豊かでは、決してない。

それでも、感情がよく見えてくる。

こんなにも、私へ感情を出してくれる。

──分かりにくい人……だけど。

私は緊張ばかりして居ないで、もっと安心しても良いのかも。

ユウくんに見とれながら、そんなことにようやく気付けた自分に、感心していた。



「そんなこと、って言うけど……」



彼の声が耳に入り、我に返る。



「俺には、かなり貴重なことだったんだけど」



寂しそうな口調と、目元。



「あ、ごめん……」

「謝らなくていいよ。むしろ、俺が後悔してるだけ。思いっきり勿体無いことしたと思って」

「そ、そんな、大袈裟な……」

「だって……誘ってくれるなんて、初めてじゃん。かなり勇気出してくれたんじゃないの?」