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今日は吾妻さんのカウンセリングの日。

時刻はまた、ほぼ最終の17時から。

しかし、思った以上に仕事が捗らず、ただ時間までに終わらせることだけに専念していた。

時計を見ると、17時まで残り40
分。



「どうしよう。このままじゃ、本当に間に合わないかも」



焦りから、背中がざわつく。

そんなときに、女性の社員さんから声が掛かる。



「伊勢さん、営業部の人が呼んでるよ」

「え……」



営業部?

こんなに仕事の進み具合が絶不調で気が立っているというのに、外回りで出た領収書を持ってきたのだろうか。

まずい、また仕事が増えてしまう。

これは、残業確定だ。

領収書を受け取ったりに行ったら、ついでに吾妻さんに電話入れよう。

申し訳ないが、今日はキャンセルするしかない。

出入口のところで待つ営業部の人とやらの後ろ姿を見て、思わず私は立ち止まる。



「あれ……? お疲れ様」