「行き先」
「めちゃくちゃ根本的!」
「そうなの! どうしよう! みさお! 候補、どこか無い?」
「ええ! 私?」
いきなりの問いに悩む。
具体的な答が思い付かない。
「去年は神社仏閣巡りで落ち着いてたから、遊べるところが良いかも……」
「彼氏と?」
「な、なんで、そうなるの! 汐里とだよ!」
「気持ちはめちゃくちゃ嬉しいんだけど、ごめん! 今年は私がメイン幹事だから、多分一緒に居られない」
「え……」
「ごめんってば。その分、彼とゆっくりしなよ。またプライベートで旅行とか行こ! ね?」
「そ、そんな……」
汐里がそうは言ってくれるものの、急に気が重くなる。
ユウくんと一緒に回る、なんてこと正直想像もつかない。
だって、夜ご飯を数回しただけで、デートというデートなんて、今までしたことが無い。
それに。
──当日、ユウくんの隣には、きっとあの子が居る気がする。
そうしたら、臆病者の私は、きっと近付くことさえ出来ない。
まだ起こってもいないことなのに、強い不安に襲われる。