手を引っ張られて連れてこられたのは観覧車。




みんな夜に乗りたいって思うのか、夕方の今は結構空いていた。




乗り込むと、私の向かい側に早輝が座る。




観覧車ってなんか微妙な距離。




それが益々ぎこちなさを醸し出す。




先に話し始めたのは早輝だった。




「ごめん!!ずっと、嫌な態度取って。」




「え?、、、あっ、いや私こそごめん!!」




お互いに頭を下げる。




顔を上げるとその表情に笑ってしまった。




観覧車に乗って、頭下げるなんて、ロマンティックの欠けらも無い。




「なんで、ずっとおかしかったの?私がなにかしたのかなってずっと思ってた。」




「ううん。冬羽じゃない。、、、俺が弱かったから。」




「弱かった?」




「大会のとき、波人に負けて悔しくて。、、、理由はほかにもあるけどただの八つ当たりなんだよ。だから、ほんとにごめん。」




そっか。




そうだったんだ。




原因がわかって、安心したし、笑ってくれて嬉しかった。