目を覚まし、夢の世界を周囲に残した半覚醒の頭でなにげなく妹の顔を見たおれは、彼女の言葉が真実だったことを知った。

彼女の後頭部は、おれの肩に半分めり込んでいた。服ごとおれの肩と溶け合い、融合していた。

気づくとおれの両腕も、彼女のからだに溶け込んでいた。

そしてさらに奇跡的なことに、溶けてぐずぐずになって、蛆やらなにやら様々なものが卑しく蠢いていた黒い肉の下から、新しい、生の力にあふれた薄桃色の皮膚が盛り上がり始めていた。

髪もまた生え始めている。

彼女が生き返りはじめている。

涙が止まった。

その喜びは死にかけていたおれの体中に染み渡り、熱い力が腰の奥から湧き上がり、心臓が胸の中で痛いほどに脈打ち始めた。

そして急激に、空腹感を覚えた。

彼女が再生の養分をおれの体から吸い取っているのだろうか。

ならばおれは食べなければ。

おれは何週間かぶりに立ち上がり― 足は萎え、体の半分は妹とくっついていたので、それだけでかなりの時間が必要だった― よろけながら冷蔵庫までなんとかたどり着き、歯でドアを開けると、中のものに猛然と食らいついた。

手が使えないので、袋の中に入ったものはその袋ごと食い千切った。

生卵はカラごと食った。

中のものは半分以上が腐っていたが、そんなことは気にせず、おれはすべて食べ尽くす勢いで、なんでも腹の中に収め込んだ。


それはおれと彼女との、新生への儀式だった。