・旅する遍歴の民。

遍歴(へんれき)か」とイデアル。

「そ。
ヨーロッパの職人や学生は、かつては自分自身を求めて各地を修行の旅をしたものよ」

と長月遥。

「しかし、自分自身って何だろうな?」とイデアル。
「それを確かな手応えを探すのが難しくなっていますよね」

イデアルはふと昔読んだ記憶を思い出した。

地球各地で、古くから伝わる「七つの門」の伝説だ。

「おそらく遍歴(へんれき)とは自分自身を疑うことから始まるのだろう」

イデアルは続ける。

「そして豊かな大地へと帰るのだ」