イデアル、ポーカーする。

イデアルはスマホのアプリでポーカーをしている。学校の部室だ。立っている。春だった。

長月遥は椅子に座り文庫本を読んでいた。

「懐かしいな」とイデアル。
「ポーカーが。
ですか?」と長月遥。

「わたしが子供のときポーカーの遊び方の本を見て、持っていたトランプカードで家族にねだってな。

で、家族はそのときだ。
ポーカーに付き合ってくれたんだよ」

とイデアル。

「良い家族でしたね」と長月遥。イデアルの両親は飛行機事故で亡くなっていたのだ。数年前。
「長月遥は家族とは知己(ちこ)だったよな?」

「仲のいい家族でした。こちらでもお世話になっていた記憶があります」と長月遥。

「で、だ。
家族との対戦以来、ポーカーやトランプカードというのはわたしにとって少し特別なものとなったわけだ」
とイデアル。

イデアルはポーカーをしている。