[草原に降り注ぐ季節]

リンネと長月遥は学校で会話する。ふたりはおたがいを異質なものだと感じているから会話は自然と当たり障りがないものとなる。

「暑い日差しだね」
「そうだなあ」

ペットボトルからジュースを飲む。
そこで長月遥はリンネと意見交換。

説話文学について。

「日本のJポップも説話だね」
「"もののあわれ"だなあ」とリンネ。
「日本の説話に今となると失われた着想があると思うと、たとえば古本説話集や宇治拾遺物語を読まねばならないと感じます」

長月遥の発言にリンネはむかしの旧家を思い出す。

それからふたりはしばらく話し合う。進路のこと、天気のこと。
会話は落ち着いたやり取りであり、成熟したやり取りの心地よさをふたりは感じている。