[光はオリエントより来たり]

長月遥はその民家で寝室で薄着で横になりひぐらしが鳴く音を聞いていた。

手元にある文庫本は、ローマ帝国の神々、光はオリエントより来たり、さらに神仏習合の二冊だ。

文庫本や新書を入れ替え、人文学を勉強する体制をつくる。しかし、反面、長月遥は田舎の退屈な日々に憂い飽きている。けれど太陽が登り日が沈むときに、夕暮れが水守市を澄み渡り、しんしんと照らしている。それは澄み切った自然を精神が観照する、ということなのだ。

石ころや森林。蛙の鳴く声、ひぐらし、鳥。風の吹く音。民家で日本の田舎はのどかである。