土曜日が、来てしまった。

先生とまともに会話したのは、あの手紙の日以来で、思えば、その次の日は入っていたけれど、そのあとは、手紙はこなくなった。先生が何かしてくれたのだろうか。

先生には、誕生日だとは言ってない。言うと絶対に先生は、勉強なんてそっちのけで私のために色々しだすに違いない。ここ数週間で、先生は割と尽くすタイプだと学んだ。

この間の公園に行くと、先生はもうそこにいた。淡い黄色の軽。あれに乗って遊園地に行ったのも、数週間前だと思うと、時が経つのは早すぎる。

先生は私と目が合うと嬉しそうに笑った。無邪気な笑みに、心臓が高鳴って仕方ない。

助手席のドアを開けて中に入ると、先生は私が座るタイミングとほぼ同時くらいに抱きついてきた。

「おはよう」

耳元で放たれるその言葉。ただの挨拶。だけど、それだけですら心がときめいてしまうのは、きっと相手が先生だから。

どうしようもなく好きな、彼氏だから。

「あの、離してください……」

それでも、理性で先生にそう言うと、

「嫌なの?」

と、少し悲しそうに囁かれた。

嫌じゃない。むしろ嬉しいけど、恥ずかしいだけ。

「ここにいつまでもいると、迷惑だから」

だけど素直にそう言わずに、私はそう嘘をつく。すると、先生は思っているよりもあっさりと離れた。

「今日はレイのこと一人占めにできるから、焦らなくてもいいか」

いこうか、そういって先生はエンジンをかける。

____私の体温をどこまで上げれば気がすむのですか、先生。