礼儀正しく部屋の前に正座をし、瑠璃はゆっくりと礼をした。
「近藤さん、土方さん。
……瑠璃です。」
静かに挨拶するその姿は、とても子供だとは思えないほど落ち着いており、後ろにいた沖田も自然と引き締まった。
「入りなさい。」
すぐに中から近藤の野太い声が聞こえ、「失礼致します。」そういって瑠璃はゆっくりと襖を開いた。
部屋の中では、近藤が中央に、その少し後方に土方が座って瑠璃を待っていた。
「そこに座りなさい。」
近藤は普段のにっこりとした笑みを浮かべ、土方は相変わらずの仏頂面で、瑠璃のことを迎え入れた。
ただ、いつもと違うのは、局長室に漂う何かぴりっとした空気と、近藤が“父親”としてではなく、“壬生浪士組局長、近藤勇”としてこの場にいる、という事実であった。