廊下は、朱色な夕陽に染まっている。


誰もいなくなった校舎の廊下には、私の足音だけがこだましていた。


そして私は、いつも通り数学研究室の前で立ち止まる。


プリントや問題集、教材などをここに運ぶのが私の仕事…日課だ。


…そして、ここは一日の疲れを癒してくれる空間でもあった。


私が思い切り数学研究室の扉を開けると、ガラガラッ、と古さを感じさせる独特の音が響いた。