教科書を読み上げる先生の声を聞きながら、こっそりと多賀君を盗み見る。

つむじあたりにぴょこんと寝癖を付けてあくびをする多賀君はなんだか眠たそうで。
ゲームでもしてたのかな、と微笑ましくなる。
大きくはないけど骨ばった手がごしごしと目をこすった。


…チョコレートは渡せなくても、言ってしまおうかな。

ずっと多賀君のことが好きです、と。

どんな顔するだろう。

困った顔かな、びっくりした顔かな、

それとも嬉しい顔かな。

そんなことを考えて、机に突っ伏した。


突っ伏して悶える私に先生から教科書で小突かれて、クラスメイトが笑ったところで授業が終わった。
多賀君も眠たそうにしながらも、みんなと同じように笑っていた。